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日本民间故事『夢(ゆめ)合(あ)わせ』

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日本民间故事『夢(ゆめ)合(あ)わせ』

―秋田県―

むかしむかしあったと。
あるところにお大尽(だいじん)がいてな、正月の二日(ふつか)に何人もの下男下女を集めて、夢合わせしたそうだ。
「わたしゃあ、こういう夢を見ました」
って、みんなは話したけんど、一番小(ちい)せえ小僧だけは、なんぼ話せったって話さなかったと。お大尽は、
「どうしても話さなかったら、川さ流してやる」
って言ったけれども、小僧は話さなかったと。

夢、見たけど、話さなかったと。
おこったお大尽は、箱舟こせぇて小僧を乗せ、米と粟(あわ)を入れて、蓋(ふた)して川に流したと。
箱舟は、流れて流れて海に出て、また流れたと。そうして、ある浜さ流れついたと。
すると、赤鬼、青鬼が拾って鬼の親分のとこさかついで行(い)ったと。
蓋、取ってみたら、小僧が出てきた。
「なして、こうしてやる」って言うから、
「夢、見たやつ、喋(しゃべ)らねで、こうして流された」って言ったと。
「その夢、おれに教(おせ)えろ!!」って鬼の親分が言ったけんど、教えなかったと。
「それじゃ、喰っちまうが、いいか!!」って言ったけんど、それでも教えねって。
こんだ、
「宝もの、授(さず)けるから教えろ」って。
「宝ものってなんだ、見せろ」って、小僧が言ったら、鬼は三本の棒を持ってきて、
「これは千里棒、“千里”って唱(とな)えりゃ千里飛ぶ。こっちは聴耳棒、鳥やけだものの言(い)うことがわかる。そしてこれは生き棒、死人をなでれば生き返る。どうだ、この宝では」 「触ってみなけりゃ、信用できね」
「じゃ、触ってもいいが、もの言うな」って。
小僧は、三本の棒を握るが早いか、
「千里、千里、千里」
と唱えたと。すると、ビュ-ンって、江戸まで飛んでったと。
江戸の町のはずれじゃ、カラスがカアカア鳴いてたと。それで、聴耳棒を耳にあててみると、
「朝日長者の娘(むすめ)が死ぬ、急げ」って。
朝日長者の家では、もう葬式の用意にかかってたと。さっそく、死んだ娘の体を生き棒でさすると、目をあけて生き返ったと。
娘は、小僧を好いてしまった。
ところがこんだぁ、日暮長者の娘が死んだと。日暮長者が、両手をついて頼むんで、小僧はこの娘も生き返らせた。
この娘も小僧を好いてしもうた。
「朝日長者の聟になってくれ」
「日暮長者の聟になってくれ」
って両方から頼まれてな、思案の末に、二つの所帯を持つことにしたと。

月の十五日は朝日の家、後の十五日は日暮の家。交代は途中の橋の上で、二人の娘に送り迎えされて、一生、幸せに暮らしたと。
小僧の見た夢は、夢をだれにも語らなければ“二人の娘に肩よせて、橋を渡る”だったと。とっぴんぱらりのぷう。

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