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日本民间故事『狐(きつね)の玉(たま)』

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日本民间故事『狐(きつね)の玉(たま)』

―福井県―

むかし、ある寺に、かしこい小僧がおってな、山の狐穴(きつねあな)から、“狐の玉”を拾(ひろ)ってきたそうな。
その玉が無いと、狐は人をだませんのだと。
小僧は、自分のつづらにこの玉を入れ、大事にかくしておった。
ある日、小僧が和尚(おしょう)さんの用事で出かけて行ったら、その間にお婆さんが訪ねてきて、
「わしは小僧の親や。小僧が、汚(よご)れものがあるので洗濯(せんたく)してくれ、言うて、出かけに寄(よ)ったんで、あの子のつづらを見せておくれ」
と、言うんだと。
和尚さんがつづらを出したら、お婆さんは玉を見つけ、洗濯物の中へちょいとかくして持って行ってしまった。

やがて小僧が戻ってきたら、和尚さんが、
「おっ母さんが、お前の洗濯物を持って帰ったで」
と、言う。
「そりゃ大変ゃ。そんなもん頼(たの)んだ覚(おぼ)えない。狐や」
あわててつづらを見たら、狐の玉が無いんだと。
「玉が無いのに化けてくるとは。狐のやつめ、狸に頼んで化けの皮でも貸してもろたんかしらん。いや、わしも頭を使わんならん」
しばらく考えてから小僧は、稲荷大明神(いなりだいみょうじん)のところへ行って、神主(かんぬし)さんが祝詞(のりと)をあげる時(とき)に着る装束(しょうぞく)を借り、身につけて、山の狐穴のところへ行くんだと。
「こら、穴の狐。おるか」
「へぇ-」
狐は稲荷さんが大将(たいしょう)だから、はいつくばるのも当り前のコンコンチキ。
「わしは稲荷じゃが、お前は大事な玉を寺の小僧にとられたそうじゃな。本当か」
「いやあ、そんなもん、とられやしません」
「いや、とられたそうな。ふとどきなやつじゃ」
「いやあ、とられやしません」
「そんなら、その玉を見せてみい」
「へへぇ」
狐は、穴の奥から玉を出してきたそうな。
「あっ、これや」
稲荷さんに化けた小僧は、ぱっと玉を盗って、山をどんどんかけ下りて行ってしまったそうな。
そろけんどっぽ、はいだわら。

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