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(芹沢)ここには 一見 密室なんか 存在してないかのように見えます。 (芹沢)でも…。(芹沢)このガラスの密室は 閉じ込められた 本人が 無意識のうちに つくりあげたものです。 (純子)目の前に 広い世界が 広がっていても そこにあるものに 触れることは 決して できません。 (純子)彼は この密室を 私たちに残して 突然 姿を消してしまいました。 (芹沢・純子)さて 彼は 今 いったいどこにいるのでしょうか? (純子)もう一度 事件を 整理してみましょう。 (芹沢)そうだな。 (純子)えー。 まず 事の始まりは ベイリーフの社長室で起きた 狙撃事件でした。 社長は 出勤前だったので 大事には至りませんでしたが 窓は 防弾ガラスに換えられ その後 榎本さんに 警備システムの見直しを 依頼することになりました。 (芹沢)《社長。 こちらが 先日 お話しした 榎本さんです》 (榎本)《後は 廊下のカメラを 最新型のものに 替えて さらに 内階段と エレベーターホールが 映る場所と できれば 社長室の中にも 設置されると いいでしょう》 (芹沢)しかし 実際には システムの工事が 始まる前に 社長は 殺害された。 (純子)はい。 現場は ビルの最上階。 部外者が 立ち入ることのできない密室でした。 [インターホン] (寛美)《はい》 [インターホン](警備員)《1階の警備ですが そちらの 一番 端の部屋でですね 人が 倒れているらしいんです》 《たった今 窓拭きの人が 見つけたんです》 (寛美)《副社長!》 (雅樹)《何ですか?》 (寛美)《社長が 部屋で 倒れてるそうです》 (雅樹)《社長! 入りますよ》死因は 脳内出血です。 打撃は それほど 強くなかったため 即死ではなかったようで 床をはった 形跡がありました。 凶器らしいものは 見つかっていません。 社長が 脳動脈瘤の手術で 開頭したことを 計算に入れた上での 犯行だったのか? (雅樹)《普通の人であれば 絶命に至ったかどうか 疑わしい レベルということです》 (雅樹)《しかし 社長は もともと 頭部に 弱点を抱えていました》 《去年の 脳動脈瘤の手術》 (雅樹)《頭蓋骨を 切開しているため 衝撃に 弱くなっていたそうです》 (萬田)《そして そのことを 皆さんが ご存じだった》 犯行が起きたとき 現場にいたのは 全員 ベイリーフの社員で 手術のことは皆さんが 知っていました。 誰が どこにいたか? じゃあ 当日の状況を もう一度 説明します。 社長は おいに当たる 穎原副社長 久永専務と共に 会議室で 昼食を取り 食後の コーヒーを飲んだ後 いつもの習慣に従って 部屋で 仮眠を取りました。 同時刻 穎原さんは 打ち合わせのため 外出。 岩切さんと 安養寺さんが 午後の会議に 備えて 会議室で 待機。 久永さんも 自室で 仮眠を取ります。 これは 習慣ではなく 珍しいことでした。 この時点で フロアには 社長室で眠っている 社長。 専務室で眠っている 久永さん。 会議室で 待機中の 岩切さんと 安養寺さん。 秘書室の 伊藤さんと 河村さん。 全部で 6人がいたわけだな。 はい。 それから 約 1時間後 榎本さんが 警備システムの 工事のため 現場に 到着したんです。 警察は 当初 久永さんに 嫌疑を掛けた。 なぜなら。 (萬田)《社長室 副社長室 専務室は それぞれ 部屋の中にある ドアで つながっています》 《それを使えば 誰にも見られずに出入りすることができる》 (萬田)《そうですね? 久永さん》(久永)《そんな。 まさか 私が》 (久永)《本当に 眠っていただけなんです》 《何もしてません。 信じてください》 その後 密室の検証を 重ねた結果 榎本さんが 一つの謎を 解明しました。 狙撃事件と 社長殺害は 同一人物の犯行では なかったということだな。 はい。 (榎本)《これまで どちらも 同じ人物による 一連の事件だと 考えてきましたが どうやら 間違いだったようです》 《じゃあ 狙撃を仕組んだのは 誰だといいたいんですか?》 《社長です》 《殺された社長の 自作自演だったんです》 (雅樹)《何のために そんな》 《12階の 警備システムなんですが》 《社長の提案で 5年前に 強化を図っているんです》 《えっ?》 《なのに ことしになって また さらに システムの見直しが 必要だと 言いだしまして》 《一応 役員会で 協議をしたんですが 防犯に 多額の費用を掛ける 余裕はないということで 承認されなかったんです》 《それじゃ 社長は 警備強化のために 自作自演を?》 そこまでして 警備を 徹底したかった理由は 何なのか? それを話してたら いきなり 警察が踏み込んできて。 (鴻野)《榎本さん。 あなた 殺された社長と 面識が あったそうですね?》 《5年前 あなた 社長の自宅の セキュリティーシステムの 設置を請け負った》 《ところが 工事が終わって 間もなく 社長宅に 窃盗犯が侵入し そのせいで あなたは 疑いを掛けられる 羽目になってしまった》 《もちろん 証拠はないので 首になったりすることは なかったようですが 同僚から 白い目で見られたり 相当 肩身の狭い思いを したんじゃないですか?》 《よく 調べましたね?》 (鴻野)《一般市民から 情報提供の電話が あったんで 裏 取ったんですよ》 《電話?》 (鴻野)《きっと 恨んだんでしょうね 社長を》 《殺してやりたいと 思ったこともあったんじゃないですか?》 《榎本さんが 現場に到着したのは 社長の遺体が 発見された後だったんです》 《殺したくても 殺せるわけないじゃないですか》 (鴻野)《できますよ》 《だって あなた 事前に ここの警備システムを 調べ尽くしていたんでしょう?》 《それに こんなの 余裕で 突破できるって 明言されていたそうじゃ ないですか》 《榎本さん! あなたが 殺したんでしょう?》 《榎本さん!》 どんな人なんだろう? よく考えたら 榎本さんのこと 何にも 知らないんですよね 私たち。 君は 彼が犯人じゃないと 思うか? はい。 絶対に違います。 [TEL] はい。 えっ? ホントですか? はい。 はい。 分かりました。 何だい? 解放されました。 榎本さんが。 どうして? 久永さんが 犯行を認めたそうです。 ホントに 社長を 殺したんですか? 久永さん 言ってましたよね? 自分は ただ 眠っていただけで 何もしてないって。 もしかして 警察から 無理な取り調べを 受けてるんじゃないですか? もし そうだとしたら 私が 力になりますから。 (久永)私は 眠っていたんです。 ええ。 だから…。 (久永)だから 眠っている間に やったと いわれれば そうなのかもしれない。 (久永)社長には 本当に 申し訳ないことをしました。 何とか 実刑は 免れてくれると いいんですが。 あなたは どう思いますか? えっ? 思っていることを 正直に 言ってみてください。 久永さんは 長期間の拘禁に 起因する 精神的ストレスで 一時的な錯乱状態に 陥ってる 可能性が 高いと思います。 連日連夜 取調官に お前が やったんだろうと責めたてられて つい 虚偽の自白をしてしまう。 よくあるケースです。 私には そう 見えました。 何が真実なのか 分からなくなってきました。 社長が 狙撃事件を 自作自演したのは 何かを 部屋に 隠していたためだと 思われます。 おそらく セキュリティーを より厳重にして それを 守ろうとしたんでは ないでしょうか? 役員会に 提案をしたが 通らなかったので 自分の命が 狙われてるという ふりをした。 そういうことです。 ついでに言うと 僕が 社長の自宅の セキュリティーシステムの設置を請け負ったのは 5年前。 しかし その直後に 愛人に 現金類を盗まれるという 不測の事態が 生じています。 その結果 社長は 自宅に隠していた 何かを 会社に移すことにした。 そう考えると 様々な符号が 合致します。 そうか。 だから 5年前に 12階の セキュリティーを 強化してるんですね。 その 何かって いったい 何なんでしょうか? それは まだ 分かりません。 ただ 一つ はっきりしたことが あります。 何ですか? 久永さんは 無実であるということです。 なぜ 無実だと? 僕と 社長との 過去の因縁を 知っていたのは 東京総合セキュリティの人間と 青砥さんだけでした。 《あの社長とは 以前 仕事で お会いしたことが あるもので》 《あっ。 そうなんですか?》 でも 同僚にも 青砥さんにも その情報を 警察に知らせる メリットが ありません。 確かにな。 とすると 犯人が 僕と 青砥さんの会話を 聞いていたのかもしれません。 えっ? どこで? 社長室です。 えっ? 犯人は おそらく ずいぶん前に 盗聴器を仕掛けて ずっと 情報収集を していたんだと 思います。 盗聴器を? じゃあ 事件が起きる前に 犯人は すでに 社長室に 侵入してたってことですか? それだけでは ありません。 犯行と同時に 盗聴器は 引き揚げましたが 犯人は その後も 真相が 発覚することを 警戒し 様子を うかがっていた。 そして 僕と社長とのことを 調べあげ 面倒な事態になる前に 警察に 電話をかけたんです。 (鴻野)《一般市民から 情報提供の電話が あったんで 裏 取ったんですよ》 誰が そんなことを? 久永さんは 勾留中ですから 匿名で電話することは不可能です。誰か 他に 榎本に 罪をかぶせようとした 人間がいた。 久永さん以外に 真犯人がいる。 犯人にとって 久永さんの自白は 想定外だったはずです。 しかし それで 事件が 片付いてくれるなら むしろ 好都合でしょう。私には 叔父から 受け継いだ会社を 守り 育てていくという 義務があります。 ですから もし 久永が 社長を殺害したというなら 心神喪失の線で ダメージを 最小限に とどめたいと 思っていました。 ですが それが もし 間違いというなら 何としても 真犯人を 見つけなければなりません。 これは 経済ではなく 正義の問題なんです。 そのための協力は 惜しみません。 榎本さん。 どうか 密室の解明を 続けてください。第一発見者は 窓拭きの スタッフだと 言っていましたよね? ええ。 会って 話を聞くことは できるでしょうか?(エレベーターの到着音) (忍)どうぞ。(ノック) (忍)失礼します。 どうぞ。 ありがとうございます。 清掃スタッフの 佐藤 学さんですね? 弁護士の 青砥です。 こちらは 東京総合セキュリティの榎本さんです。 (学)どうも。 どうも。 では 早速ですが 佐藤さんは 窓拭きの仕事に 取り掛かろうとした際に 社長の遺体を 発見されたんですよね? (学)はい。 遺体を発見したのは あの窓からですよね? (学)はい。 社長は どこに どのような状態で 倒れていたんですか? (学)ここに うつぶせで。 ここからだと 遺体は ソファの陰になって 見えないんじゃないでしょうか? (学)そんなこと ありません。 ゴンドラで 上がっていくときに 見えたんです。どうですか? 確かに見えますね。 それで 窓は拭かずに 屋上へ 引き返したんですね? もちろんです。 窓拭きどころじゃ ありませんから。 分かりました。 [TEL] あっ。 すいません。 芹沢さんです。 ちょっと 失礼します。 [TEL] まさか 中に入るときが 来るとは 思わなかったな。 いつも 外から のぞいてたけど ガラスを隔てた 向こう側は 自分には 何の関わりもない 遠い世界だと 思ってたから。 さっきの 弁護士先生とだって こんな 特殊な状況じゃなければ きっと 一生 言葉を交わすことなんて なかっただろうし。 本来は ただ ガラス越しに 眺めてることしか できない存在なんですよ。 あなたも こっち側の人間ですよね? (ドアの開く音) すいません。 お待たせしました。 われわれは 大事な容疑者を 一人 見逃していたようです。 何か 根拠 あんのか? 遺体が ソファの陰になって 見えないのではないかと 質問したとき…。 《ゴンドラで 上がっていくときに見えたんです》 でも 佐藤さんが 遺体を発見したのは 窓拭きをする前でした。 《窓は拭かずに 屋上へ 引き返したんですね?》 《もちろんです。 窓拭きどころじゃありませんから》 とすると 遺体が見えたのは ゴンドラで 上がってくときではなく 作業をするために 下がっていくときでないと おかしいのでは ないでしょうか? あっ。 でもさ 下がっていくときは 意識なんか してないんだから 見えてたとしても 気が付かないもんじゃないのか? もし そうだとしたら 窓拭きを終えてから 上に昇りますよね? 一度 下に降りてから 何もせずに すぐ上がるというのは 矛盾しています。 なるほど。 じゃあ どうやって 社長を殺したんだよ? 様々な検証を 試みましたが やはり…。 介護ロボットを使って 犯行を行ったとしか 考えられません。 どうやって? 分かった。 ホント? ロボットが 直接 打撃を与えられないなら ワンクッション 置いたんじゃないですか? まず デスクの端に 石のブロックのようなものを 底が 半分 はみ出した状態で 置いておき 睡眠薬で眠らせた 社長の体を デスクの すぐそばに 横たえます。 その後 ロボットのアームを 接触させて 社長の頭に ブロックを 落としたんです。 発想は 面白いですが 現場に それらしい凶器は 見当たりませんでした。 ああ。 分かった! こういうのが あれば ロボットを使って その位置に 社長の首を 持ってくるだけで いいんじゃないでしょうか? ですから 現場に それらしい凶器は 見当たりませんでした。 ああ。 そういえば そうでした。 榎本。 真面目に答えなくて いいからさ。 えーと。 青砥。 もう考えるなよ。 あっ! 分かった 分かった。 巨大なドライアイスのキューブを。 いずれにしてもだな この犯人は とてつもなく 用意周到なやつで 間違いない。 だから 介護ロボットを 犯行に使ったとしたならば その性能を 調べあげて 計画に 組み込んだんだろう。 どういう意味ですか? すなわち ロボットには ロボットに できることを させたということだ。 どういう意味ですか? だから そういう意味だよ! [TEL] はい。 (里奈)お疲れさまです。 今 ベイリーフの穎原さんから お電話が ありました。 穎原さんから? (里奈)どうぞ。 (雅樹)すいません 突然。 何か あったんですか? あれから 気になって 過去の会社の経理を 徹底的に 洗い直してみたんですが 不明瞭な金の流れが 見つかったんです。 不明瞭? 研究費の水増しなどの形で 10年以上にわたり 組織的に 横領が なされていたようなんです。 総額は 6億円近くだと 見積もられています。 まさか 久永さんが? (雅樹)久永も 関与していたとは 思いますが 疑惑が持たれている 伝票は 彼が 決済できる額を 超えているんです。 ということは…。 亡くなった社長が 行っていたとしか考えられません。 お体は いかがですか? いやぁ。 今日も 暑いですね。ことしも 猛暑になるんですかね。 熱中症って 怖いですよね。朝ご飯は ちゃんと 食べられましたか? 食事は 大切ですよね。 食べないと 元気が出ませんから。久永さん。 ホントに これで いいんですか? あなたが もし 睡眠障害の病気ではなく 社長を 殺していなかったとしたら? もし 物取りが目的で 社長が 他の人に 殺されていたとしたら? お願いします。 気を しっかり持ってください。 何としても 真犯人を 見つけだすべきです。 そのためには ホントのことを 知る必要があります。 社長に 恩返ししましょう。横領の事実は 認めたんだな? はい。 6億円は 貴金属に換えられ 隠匿されているようです。 隠し場所は? さすがに 社長も そこまでは 教えなかったみたいですね。 ハァー。 待てよ。 どうしたんですか? 社長が 窓ガラスを 防弾ガラスに換えようと 思ったのは 窓から 誰かが侵入してくる 可能性を 考えたからじゃなかったのか? 部屋に隠してあったものを 窓の外から 目撃された。 そう思った瞬間が あったんだ。 窓の外? そいつを 間近で 見ることが できるのは…。 私 調べてみます 佐藤さんのこと。俺も 隠匿物があった場所を 確認してみる。 はい。 (遠山)佐藤 学ですか? はい。 (遠山)おとなしいやつですよ。 めったに しゃべらないし。 おい 矢部。 お前 佐藤と よく 同じ現場になるよな? (矢部)はい。 (遠山)仲 いいのか? (矢部)いや。 個人的な 付き合いは ないっすよ。 (遠山)電話とか メールは? (矢部)しないっすよ。 だそうです。ありがとうございました。 (遠山)はい。 あっ。 ボウリング大会ですか? (遠山)毎年 恒例なんです。 佐藤さんは…。 (遠山)写ってるんじゃない? どっかに。 あれ? 写ってないな。 (矢部)あっ。 これ そうじゃないっすか? (遠山)あっ。 一応 ここにも いるけど。 (矢部)あっ。 ここにも。 (遠山)何だよ。 これしか ないの? (矢部)そうっすね。 すいません。 他の写真は ありませんか? (遠山)どうぞ。 すいません。顔が写ってない? 1枚もか? [TEL]はい。 あれは どう見ても わざと写らないように してるんだと思います。 何か おかしいですよね。 もしかして 素性が明らかになると 困ることでも あるんでしょうか? それは 本気で調べてみる必要が ありそうだな。 おい。 (鴻野)これは 珍しい。 何の ご用事ですか? ベイリーフの社長殺害事件で 第一発見者の 佐藤 学さんの 調査をしています。 (鴻野)それで? 佐藤 学さんの 本籍を お教え願えないでしょうか? 冗談でしょ。 簡単だとは 思ってませんよ。 ただ 鴻野さんには それだけの 貸しがあると思うんで お願いに来たんです。 貸し? 過去に 2件ほど 密室事件の 捜査協力をしたはずなんですが。 あれ? お忘れですか? なのに あなたは 榎本を 参考人どころか 被疑者のような扱いをした。 恩を あだで返すとは このことだ。 その気になればね 違法な身柄拘束で 国家賠償請求をしたって いいんですよ。まっ そんなことは したくありませんがね。 ありがとうございました。 美術館や 宝石商で起きた 窃盗事件の記録だ。 どこも 厳重な警備システムを 備えていたが あっさりと突破された。 これらの事件には 全て 共通点があるんですよ。 何ですか? 事件が起きた日の 終業間際に 現場を訪れた 榎本さんの姿が 監視カメラに 映ってた。 ただし 他には 何の痕跡もなし。 指紋も 検出されなかった。 最新鋭の警備システムを 難なく 突破できる人間なんて そう多くは いないんじゃないですか? 引きこもり? 佐藤さんがですか? (村井)ええ。 入学して 間もなく。 じゃあ 卒業できなかったんですか? (村井)そうです。 ということは 卒業アルバムにも 写ってませんよね? (村井)はい。 どなたか 学さんと 親しくしていた方は いらっしゃいませんか? (村井)さあ。 (女性)佐藤さん? はい。 息子さんのことについて 調べてるんですけど。 すいません。 同級生の 佐藤 学さんのことを 調べてまして。 (女性)いたと思うけど 今は 何やってるか 分かんないわ。 佐藤 学さんという方なんですが。 息子さんの同級生なんですけど。 (女性)分からないわね。 ありがとうございました。 (早智子)ああ。 よく知ってますよ。えっ? ホントですか? (早智子)学君とは 親同士が 仲が良くて 小さいころ よく遊んでました。 うん。 今でも 連絡を 取ってらっしゃいますか? (早智子)ああ。 いいえ。 引きこもりになっちゃってからは まったく。 ご実家の方は 引っ越されてますよね? (早智子)はい。 2年前に。 あっ。 それで 写真の方は? (早智子)あっ。 (早智子)はい。 入学式の集合写真です。 これが 一番 最近だったので。 ありがとうございます。 えー。 あっ。 これが そうですよね? (早智子)えっ? 違います。 これです。 えっ? 佐藤 学さんですよ? はい。 これが 学君です。 えっ? じゃあ この人は? 椎名 章君です。(早智子)はい。 入学式の集合写真です。 これが そうですよね? えっ? 違います。 これです。 えっ? じゃあ この人は? 椎名 章君です。彼は 佐藤 学じゃありませんでした。 本名は 椎名 章。 高校生のときに 父親が 共同経営者に 裏切られて 会社が倒産。 両親は 多額の負債を 背負ったことを苦に 彼を残して 心中自殺しています。 その後 章は ヤミ金業者に しつこく 付きまとわれていた ようなんですけど。 あるとき 取り立て屋の男を ナイフで刺し 行方不明になったそうです。 刺した? はい。 それで 偽名を使ったのか。 (職員)《佐藤 学さん》 やくざに追われる身になった 章は 仕方なく 学に 成り済ますことに したんだと思います。 当時は 今ほど 管理も厳しくなかったので 簡単に 住民票が 取れたんでしょう。 住民票があれば 免許が取得できますから 身分証明は 可能になります。 章は 家の問題がなければ 一流大学へ進学し エリートコースを歩んでいけるだけの 素養を じゅうぶんに持っていた。 [TEL]そう 担任の教師が 言っていました。(男性)お兄さん。 (男性)9号室の 鈴木さん どこ行ったか 知らねえかな? (章)知りません。 (男性)ああ。 そうか。 (鍵を掛ける音)(小池)《どこに 行く気だったんだ?》 《まさか 逃げるなんて バカなこと 考えてたわけじゃ ねえだろうな?》 (小池)《もし ばっくれたりしたらお前の人生は 終わりだ》 《どこへ逃げようが 必ず 見つけだして ぶち殺してやるからな。 フフフ》 《じゃあ 今後の返済計画について相談しようか? ヘヘッ》 (小池)《ああっ! てめえ…》もし 椎名 章が 犯人だったとしたら 怨恨による 犯行ではなく 物取りが目的だったってことに なりますね。 まあ そういうことに なるだろうな。 問題は 動機よりも 殺害方法だよ。 社長の部屋が 侵入 不可能だったとすれば 椎名は どうやって 殺したのか? 結局 そこなんですよね。 榎本さんは 介護ロボットを使ったはずだって 言ってましたけど。 ルピナスVの セーフティープログラムは 万全だ。 被介護者を 攻撃するような動作は一切 できないし わざと 床に 落とさせるという 操作も 受け付けない。 障害物を センサーが察知して 減速するから 壁に衝突させることも 不可能だ。 そんなものがさ 殺人の道具になるのか。 散々 考えたけど さっぱり 分かりゃしないよ。 うーん。 (ノック) はい。 (里奈)コーヒー お持ちしました。 あっ。 ありがとう。 ああー! ごめんなさい! (里奈)タオル 持ってきます。 ありがとう。 ごめんね。 ごめんなさい 芹沢さん。 大丈夫ですか? ああ。 靴まで。 ああ。 大変。 大丈夫ですか? せ…。 芹沢さん? そうか。 そうだったのか。 えっ? 分かったよ。 介護ロボットを使って どうやって 殺害したか。 それ 見た瞬間さ 空から ひらめきが 降ってきたんだよ。 この方法だったら 殺害できると思わない? どう? (鍵の開く音) お見事です。 すごい。 よし。 やった。 今回は 俺が 密室の謎を 解いちゃったよ。 悪いな えのもっちゃん。 すごい! 芹沢さん! すごいです! さすが。 さすが 芹沢。 さすがです ホントに。 じゃあ 記念写真 撮ります。 はい。 社長が殺害されたとき 部屋は 完全なる 密室状態でした。 それ故 われわれは 密室の謎を 解き明かすべく 検証に 検証を 重ねてまいりましたが ようやく 一つの結論に たどりつくことができました。 それは 犯人は 社長室には 侵入していなかった。 つまり 遠隔操作によって 殺人を行ったんです。 (雅樹)それに使われたのが ルピナスVだと いうんですか? 犯人は 窓の外 ゴンドラに乗って 操作をしました。 (岩切)セーフティープログラムが 備わってますから 殺人なんか できるわけないんですよ。 確かに ルピナスVの セーフティープログラムは 非常に 優れたものです。 しかし 盲点があった。 (岩切)盲点? 岩切さん。 ルピナスVで あのダミー人形を 抱えあげてください。 お願いします。 (岩切)フゥー。これが 盲点です。 (岩切)はっ? 何 言ってんですか? 見てください。 毛布が 落下しました。 ルピナスVの セーフティープログラムでは 対象となるものを 床に 落としたりすることはできません。 この場合 対象とは 抱えられてる 人形だけを指し 毛布は それに含まれていない。 つまり 毛布が 落っこちたとしても 何の関心も 示さないというわけです。 どういうことですか? 具体的に 言ってください。 青砥。 はい。 事件当時 社長は カウチで このように 寝ていました。 犯人は ルピナスVを使って カウチごと 社長の体を 持ち上げた。 まさか。 そうです。 その場合 セーフティープログラムの対象は カウチであって 社長の体は 付属物と見なされます。 ですから カウチごと ダミー人形を リフトアップし その後 傾ければ 社長は滑り落ちて 床に 頭を打ち付けられる。 では 岩切さん。 カウチごと ダミー人形を 持ち上げてみてください。(警告音) 「リフト 不能。 エラーナンバー 2」 「リフト 不能。 エラーナンバー 2」 「リフト 不能」 えっ? どうしたんですか? 奥行きですよ。 何? (岩切)アームの長さを 超える物体は 持ち上げること できないんですよ。 長さって どれくらいなんですか? 確か 70cmだったと思います。 (岩切)だから ルピナスVに 殺人なんか できるわけないんですよ。 そう言ってるでしょ。 いや。 いや。 ちょっ。 ちょっと 待ってください。 ねっ? いや。 たとえ カウチが 駄目だとしてもですよ 何か こう 台になる物体さえ ありゃ いいんですよね? それ。 あっ。 テーブルだ。 ああ。 このテーブル。 犯人はですね ルピナスVを使って いったん テーブルの上に載っけて それで 持ち上げて また 落とした。 (雅樹)テーブルに 社長を横たえたとしたら 何らかの痕跡が 残るんじゃないでしょうか? それは そうですよね。 ちょっと 待ってください。 他にね…。 芹沢さん。 もう やめましょう。 何 言ってんだよ? いまさら 引き下がれるかよ! 悔しいのは 分かりますけど。 悔しいとか そういう問題じゃないだろ! ほら。 他に…。 どうも。 お騒がせして 申し訳ありませんでした。 70cm? そうなんです。 [TEL]重さは 300kgまで 大丈夫だって確認してたんですけど 奥行きまでは。 芹沢さん ショックで 魂 抜けちゃったみたいで。 あれ? もしもし。 榎本さん? 聞こえてます? 僕も 今から そちらへ 伺います。 社長は なぜ ルピナスVを 社長室に置いていたんでしょうか? (雅樹)わが社にとって シンボル的な 存在だからでしょう。 例えば 一人では 持ち上げられない 重たいものを 動かすためだったとは 考えられないでしょうか? 重たいもの? ここに あるもので 奥行きが 70cm以下の 重たいものといえば 答えは 限られてきます。 えっ? 予想したとおりでした。 隠し扉です。 よりよい 介護のために 技術の粋を集めて 作られた このロボットは 社長にとっては 単なる フォークリフトの代用品にすぎなかったというわけです。 中身は? 空っぽです。 6億円相当の 貴金属類は やはり 犯人に盗まれたようです。 (風音) (風音) (物音) 《介護ロボットを 犯行に使ったとしたならば その性能を 調べあげて 計画に 組み込んだんだろう》 《すなわち ロボットには ロボットに できることを させたということだ》そうか。 そうだったのか。 密室は 破れました。 ホントですか? 教えてくれよ。 犯人 どうやって 社長を殺したんだよ? それは あした お話しします。 出たよ。 久しぶりに 出ちゃったよ。 俺が 苦手なやつ。 どうして あしたなんだよ? 今 言えよ! すぐ 言えよ! ここで…。フゥー。 (ノック) どうぞ。 連絡 あった? 榎本から。 いえ。 まだです。 かけてみても いいんじゃない? こっちから。 かかってきますよ。 そう。 (足音) (足音) 僕の情報を 警察に流したのは あなたですね? (章)何の話ですか? あなたには 感心しましたよ。 密室の解明に ここまで てこずったのは 初めてです。 でも ようやく 答えを 見つけることができました。 (章)申し訳ありませんが 何を言われてるのか さっぱり 分かりません。 では 分かるように 説明しましょう。 話は 少しばかり 複雑です。 まず あなたは 窓拭きの最中に 偶然 あるものを目撃しましたね。 (章)あるもの? 何ですか? あるものって。 社長が 部屋に隠し持っていた 6億円相当の ダイヤモンドですよ。 あなたは 何とかして それを盗めないかと考え 情報収集のために 盗聴器を 仕掛けることにした。 (章)仕掛けるって いったい どうやって? 清掃に訪れた際は いつも 屋上と 内階段の ドアを開ける マスターキーを 警備員から 渡されるんですよね? (章)ええ。 清掃の時間は たっぷり あります。 仲間の清掃員が 作業している間にビルを抜け出し 合鍵を作ることは じゅうぶんに 可能でしょう。 その合鍵を使い あなたは 深夜の 役員フロアに 侵入したんです。 監視カメラは 夜間は センサーで 作動する アラーム録画設定に なっていたため 人体から発する 赤外線を ブロックする 素材。 例えば アルミで 全身を包んでおけば センサーを くぐり抜けることができます。 そうして あなたは 盗聴器を仕掛け 時間をかけて 様々な情報を 集めていったんです。 (章)フッ。 冗談でしょ? 残念ながら 本気です。 集めた 情報というのは 例えば 社長が 昼食後に コーヒーに 砂糖を入れて 飲むこと。 社長のコーヒーだけは 専用の粉を使って 入れられること。 毎日 必ず 食後に 仮眠を取ること。 そして ダイヤが どこに 隠されているのかということ。 あの音を 耳にすれば 隠し場所を推測するのは それほど 難しくはなかったでしょう。 ついに ダイヤを 奪うときが来た。 そう思った矢先に 不測の事態が 起きました。 社長が 狙撃事件を でっち上げ 警備システムが さらに 強化されることに なってしまったんです。 だから 僕が システムの工事に 取り掛かる前。 つまり 事件前夜に ダイヤを盗みだし 盗聴器を 回収したんですね? かかってきませんね。 だから こっちから かけちゃえよ。 いや。 でも せかしちゃ 悪いし。 大丈夫だよ。 どうせ 暇なんだからさ。 かけちゃえ かけちゃえ。 [TEL](アナウンス)「おかけになった 電話番号は 現在 使われておりません。 恐れ入りますが…」 あれ? 何だよ? (章)学歴のない 一清掃員が そんなに 手の込んだこと 考えつけると思いますか? もう 終業時間なんで 帰らせてもらいます。 ダイヤを 処分しに 家に帰るんですか? あなたが こっから 出てくなら 僕は 警察に 通報しなくてはなりません。 あなたは 逮捕され アパートに 家宅捜索が 入ることになります。 (章)いいかげんにしてください。 何の証拠があって そんな…。 数百個の ダイヤとなると 隠し場所は 限られてくる。 でも ホントは どこかに埋めてしまうのが 一番 安全なんですが そうは できないのが 人間のさがです。 どんなに 辺ぴな場所を選んで どんなに 深く穴を掘っても 誰かに 見つけられるんじゃ ないかと思うと 夜も 眠れなくなる。 だから どうしても 手元に 置いておきたくなるんです。 今 あなたが恐れているのは 警察よりも 火事や 泥棒でしょう。 違いますか? (章)あんた どうかしてるんじゃないのか? 玄関脇の 古い洗濯機のことですが。 あれだけ 古いものだと 盗まれる心配 ありませんよね? ダイヤの包みを 内槽と 外槽の間に 押し込めば まず 見つかることはないし 取り出すのも 困難です。 しかも 洗濯物を入れ 水を ためておけば カムフラージュと 火災よけの 一石二鳥になる。 なかなか よく 考えたと思いますよ。 (章)そんなの ありかよ? うちに 勝手に入ったのか? 一つだけ 分からないことが あります。 あのダイヤは 社長が 横領したものですから たとえ 盗まれたとしても 公表することはできません。 あなたも おそらく それを 察していたはずです。 では なぜ 大変な苦労をしてまで 殺す必要が あったのでしょうか? (章)殺してない。 俺は 殺してない。 ダイヤを盗んだのは 事件が起きる 前の晩だ。 当日は あの部屋に入れなかった。 社長を殺すことは 不可能だ。 いいえ。 可能です。 (章)どうやって? どうやって 殺すんだよ? 説明してみろよ! ダイヤを盗みに入った夜に 全ての準備は 整えられていたんです。 事件当日。 あなたは 清掃開始の時刻より 一足先に ビルを訪れ ゴンドラに乗って 12階へ 降りました。 昼食を終えた 社長は 深い眠りに 落ちていた。 コーヒー用の砂糖の中に 睡眠薬が仕込んであったからです。 社長室に置かれた 介護ロボットはまだ 開発途中のため 市販の ラジコン用 コントローラーを使って 動かしています。 盗聴で 情報を仕入れていた あなたは コントローラーを持参し ロボットに 社長の体を 持ち上げさせ 窓の すぐ内側まで 運んでこさせた。 (章)それで? ロボットに 何をさせたっていうんだよ? それだけです。 介護ロボットには 介護ロボットにできることを やらせた。 それで 十分だったんです。 (章)フッ。 (章)はったりだな。 あんた ホントは 何も分かってないんだ。 鎌をかけてるだけだろ? なるほど。 よほど トリックに 自信が あるようですね。 まあ 無理もありません。 僕も 風が吹いていなければ 気付かなかったかも しれませんから。 (章)風? 昨日の 強風です。 社長室の窓は 防弾ガラスで はめ殺しになっています。 どんなに 強い風が吹いても びくともしないはずなんですが。 (物音) なぜか がたついていたんです。 理由は すぐに分かりました。 窓ガラスが ほんのわずかだけ 可動するよう 細工がしてあったんです。 まったく 遊びがない状態では 力が 通り抜けられないですから。 何 言ってんだよ? デッド・コンボですよ。 デッド・コンボ? ビリヤードで 最も リスクが 高いとされている コンビネーション ショットです。 キューで突いた 手球は ポケットに落とす ターゲットの球に 直接 触れることはなく その手前に 接している 的球に当たるだけです。 しかし 手球の持っている 運動量は 的球を通り抜けて ターゲットへと 伝達される。 これを 日本では 即死コンビネーションと 呼んでいます。 社長の頭部は 窓ガラスの内側に 押し付けられています。 もし 外側から 重量のある鈍器で ガラスを 思い切り たたいたとしたら デッド・コンボと 同じ現象が 起きるというわけです。 ガラス越しに伝播した 衝撃は 手術を受けたばかりの 頭蓋骨には 致命的だった。 ただし 即死はしなかったようですが。 その後 あなたは いったん 屋上へ戻り 後から やって来た 仲間の清掃員と 通常どおりに 業務を開始した。 そして 偶然 遺体を 発見したように 装ったんです。 ところが まだ わずかに 意識が残っていた 社長は 最後の力を振り絞り キャビネットに向かって はっていった。 死の間際に至るまで ダイヤに 執着していたんでしょう。 あなたは 一瞬 遺体が消えたと 思って 焦ったんじゃないんですか? だから ゴンドラで 上がっていくときに 遺体を 見つけたんですよね? どこにあるんだよ? そんな鈍器。 あのビルの屋上で 大きな鈍器を 隠せる場所は 1カ所しか ありません。 給水タンクの中です。 見つけましたよ。 あなたが使った ボウリングの球を。 あなたらしくない 落ち度でしたね。 きっと 仲間の清掃員が 来る時間になってしまい タンクに 投げ入れるしか なかったんでしょう。そうだよ。 俺が やったんだよ。 何で 殺す必要が あったかって? フッ。 教えてやろうか? 俺の目的は ダイヤなんかじゃない。 最初から あいつを殺すこと。 復讐することが 目的だったんだ。 復讐? あいつは 俺の親父を裏切った。 共同経営が傾いたとき 会社の金を 持ち逃げして 親父と おふくろを 死に追い込んだんだ。 (穎原)《あっ。 おっと》 (章)《すいません》 (穎原)《何だよ。 チッ》(章)殺して 何が悪い? では 復讐計画の途中で ダイヤを 発見したということですね? あれは 予想外の出来事だった。(章)どうせ 殺すなら ついでに あのダイヤも もらっておこうと思ったんだ。 そうすれば 世界が変わる。 新しい人生を 始めることができる。 ダイヤを 手にすれば ガラスの向こう側へ 行ける。 (章)高級な スーツを着て 磨きぬかれた 革靴を履いて 金が無ければ とても 手の届かないような いい女を 口説くことだって できる。 君のことは 調べさせてもらったよ。 君になら 分かるだろう? 俺の気持ちが。 それで ガラスは 越えられたんですか? 復讐を果たし ダイヤを 手に入れて あなたは 解放されたんですか? 僕には そうは見えません。 君には どう見える? 前後左右。 それから 上下まで ガラスに 囲まれているように 見えます。 僕は ガラスの箱に 閉じ込められるのは ごめんです。 たとえ 向こう側に 行けないとしても 自由で いたいんです。 榎本さん。 いらっしゃいますか? 榎本さん? 青砥。 はい。 見ろ。 あっ。[TEL] はい。 もしもし? [TEL](鴻野)捜査1課の 鴻野です。 佐藤 学が 自首してきましたよ。 あっ いや。 椎名 章か。 自首? 復讐のために 社長を殺したそうです。 本人の供述どおり 自宅の洗濯機から ダイヤも 見つかりました。 そうですか。 ただ 一つ 気になることがあるんです。 えっ? それで 久永さんは どうなったんですか? (雅樹)ええ。 復職は 認められませんが 依願退職扱いとして 規定の退職金を お支払いすることにしました。 横領の件は 社長の従犯に すぎませんから。 そうですか。 これからは 社員と 力を合わせて 私が 新たな ベイリーフを つくっていきます。 微力ながら お力になります。 ありがとうございます。 榎本さんにも どうぞ よろしく お伝えください。 はい。 伝えておきます。 あれから もう 3日ですよ。 榎本さん どこにいるんでしょうね? [TEL] はい。 もしもし? [TEL]すいません。 連絡が 遅くなりました。 あれから もう 3日ですよ。 榎本さん どこにいるんでしょうね? [TEL] はい。 もしもし? [TEL]すいません。 連絡が 遅くなりました。 どうしたんですか!? 心配してたんですよ! 榎本? 榎本か? [TEL]ちょっと 事情がありまして。 榎本! どこにいんだ? 今! 空港です。 [TEL]空港? えっ? 旅行にでも 行くんですか? はい。 臨時収入が 入ったもので。 臨時収入? ああ。 ちょっと。 おい。 榎本。 聞きたいことが あるんだ。 [TEL]何でしょうか? 椎名 章の部屋から 押収された 6億相当の ダイヤのうち 約 1億円分が ホワイトジルコン。 つまり 偽物だったんだそうだ。 [TEL]そうですか。 お前 まさか。 何のことでしょう? 社長が 業者に だまされたんじゃないんですか? あの。 旅行って どこに行くんですか? [TEL]さあ。 いつ 帰ってくるんですか? さあ。 フライトの時間なんで もう 行きます。 あっ。 ちょっ。 ちょっと 待ってください。 [TEL]では。 [TEL](不通音) 何だって? さあ。 はあ?